フラックス洗浄方法の種類と選び方
~洗浄方式別の特徴と選定基準~

フラックス洗浄を検討する上で、最適な洗浄剤x洗浄方法の組み合わせを選択することは大切です。
今回は、お客様からも多くいただくご質問の1つである『洗浄方式の種類と選定方法』について解説します。

『フラックス洗浄の基礎知識』をまとめた資料もあわせてご覧ください。

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おすすめ資料「フラックス洗浄の基礎知識」

  • フラックス洗浄とは?
  • 洗浄剤の種類と選定方法(水系洗浄剤・溶剤系洗浄剤)
  • 洗浄方式の種類と選定方法(スプレー・超音波・噴流)
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フラックス洗浄とは

フラックス洗浄とは、実装後のプリント基板、パワーモジュール、半導体パッケージ、リードフレームなどを保護しながらフラックス残渣(コンタミ)を除去する事です。

フラックスははんだ付けには必要不可欠な存在ですが、残渣があることにより、マイグレーションの発生やモールディングの密着不良などの不具合が起きる可能性があり、洗浄が必要なケースがあります。

 

洗浄方式の種類

フラックス洗浄で、代表的な方式はスプレー(シャワー) ・超音波・噴流です。
他にもコ・ソルベントや真空、遠心分離などの方法があります。今回は代表的な3つの方式についてご紹介します。

 

  スプレー(シャワー) 超音波 噴流
メリット ・一定の物理力を得られる
・物理力の調整が容易
・液置換性に優れる
・微細な部分までの洗浄効果が大きい
・出力調整により物理力の調整可能
・一定の物理力が得られる
・ワークに対しての影響が軽微
デメリット ・角度や形状の調整が不可欠 ・部材に対してもアタック
・液音制御が必要となる
・超音波で破壊される部品あり

・よどみは発生しやすく、細部までの洗浄が困難

物理的特性
懸念点

 

 

スプレー(シャワー洗浄)

スプレー洗浄は、ご紹介する方式の中で唯一ワークを液に浸漬させない方法で、洗浄液自体が物理力(運動エネルギー)を持つ洗浄方式です。そのため、洗浄後ワークを取り出す際に汚れが再付着する可能性が低く、微細部分の洗浄にも効果的です。スプレー洗浄装置はバッチ式とインライン式に分かれており、それぞれの特性をご紹介します。

バッチ式スプレー洗浄機

<バッチ式スプレー洗浄機の概要>

  • 1日の処理最大目安:500枚程度(基板換算)
     
  • 省スペースで設置可能
     
  • 洗浄機価格:600~2000万円
     
  • 洗浄液の持ち出し量が多い
インライン式スプレー洗浄機

<インライン式スプレー洗浄機の概要>

  • 1日の処理最大目安:数千枚~(基板換算)
     
  • 高圧、高速洗浄が可能
     
  • 一定のスペースが必要
     
  • 洗浄機価格:2500万円~
     
  • 洗浄液の持ち出し量が少ない

超音波洗浄

超音波洗浄は物理的作用と化学的作用の2つの作用を用いて洗浄します。


物理的作用・・・キャビテーション、振動加速度、直進流などが、汚れを剥離・分散・乳化させる

化学的作用・・・洗浄液の成分による化学的作用と、超音波による化学反応促進作用が汚れを溶解・分解させる


【周波数によって性質が異なる】

【適用周波数例】

<超音波洗浄の概要>

  • 1日の処理最大目安:~数千枚まで
     
  • 細かい部分の洗浄にも対応
     
  • 一定のスペースが必用
     
  • 洗浄機価格:数百万円~
     
  • 抜群の洗浄力を有する

 

 

 

キャビテーションによる洗浄(蒸気性) 15~50kHz帯(低周波数領域)

  • 蒸気性キャビテーション:主に周波数で発生
    (物理エネルギー大)
    (水蒸気が圧縮されている状態)
     
  • 気体性キャビテーション:全周波数で発生
    (高温・高圧の液体が圧縮されている状態)

噴流洗浄

噴流洗浄は汎用性が高い方式ですが、よどみが発生しやすく、基板と部品間の狭い部分のような細部までの洗浄は困難です。

 

<噴流洗浄機の概要>

  • 1日の処理最大目安:数枚~数千枚まで
  • 装置仕様がシンプル
  • 一定のスペースが必要
  • 洗浄機価格:数百万円~
  • 汎用性が高い⇒日本での主流方式

① 目的・清浄度
洗浄の目的、要求される清浄度レベルの確認しましょう。
洗浄タイプ、無洗浄タイプのはんだペーストにより難易度は異なります。

② 材料適合性
洗浄に適した部品が使用されているか確認しましょう。

③ 生産量
洗浄数量によって、設備仕様、ランニングコストが変化します。

④ ランニングコスト
洗浄剤単価だけでなく、年間でのトータルコストを確認しましょう。
液交換頻度、廃液処理費も影響があります。

⑤ 安全性
洗浄剤の法令を確認。海外工場はさらに注意が必要です。日本法令基準では通関できない諸外国もあります。

  1. 超音波の使用可否・・・微細洗浄にも効果が大きく、汎用性が高い洗浄方式ですが、搭載部材との適合性が求められます。
     
  2. 微細部分の有無・・・BGA/QFNの下部、SIP/QFP隙間洗浄は噴流方式では困難です。
     
  3. 洗浄対象の処理/枚数・・・処理数が多い場合は、インライン式が推奨されます。ランニングコストも低下する傾向があります。
 
高密度実装時のおすすめ洗浄方法

昨今の半導体実装は『多層化』と『高密度化』に伴い低スタンドオフ化・狭ピッチ化しています。よって、洗浄検討を行う際のポイントとしては、洗浄液の「ぬれ性・洗浄性」に加え、「液置換性」フラックス残渣が再付着する可能性が低く、微細部分の洗浄にも効果的なスプレー/シャワー洗浄がおすすめです。

▼関連記事①:ゼストロン洗浄剤2種とIPA・溶剤との洗浄性比較も!

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洗浄から清浄度分析までワンストップで

洗浄を検討するにあたって、洗浄剤だけでは完結しません。

弊社は洗浄剤メーカーではありますが、ワークに適した洗浄方式を選択するこ と、そして洗浄後の分析も重要と考えています。

そのため、洗浄剤のご提案だけでなく、洗浄方式の選定、清浄度分析もサポー トさせていただきます。

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