FT-IR(フーリエ変換赤外分光法)
FT-IRは、基板上の有機物残渣を分析し、フラックス残渣・洗浄液残留など残渣の起因を特定できる分析手法です。
目視では確認できない微量の有機物残渣や、複合成分が混在する残渣の成分特定にも対応しており、原因解析や改善提案までサポートいたします。
FT-IRで分かること
FT-IRは、測定対象物に赤外光を照射し、透過または反射された赤外光の吸収スペクトルを測定することで、対象物質の化学構造や成分を同定することができる分析手法で、非破壊で検査が可能です。
| FT-IRの 主な用途 |
|
| 測定対象物 | プリント基板(PCB)、DCB、液体サンプルなど |
| 使用装置 | LUMOS(BRUKER製) |
FT-IR(フーリエ変換赤外分光法)の仕組みとメリット
FT-IRは、赤外分光法(IR: Infrared Spectroscopy)をベースにした分析装置で、電子部品の汚染解析や樹脂・フラックス残渣分析にて広く使われています。
干渉計とフーリエ変換を利用することで全波長の情報を一度に取得できるため、測定速度が速く、S/N比(感度)が高く、微量成分の検出にも優れています。
赤外吸収の原理
分子中の結合(C-H、C=O、O-Hなど)はバネのように振動しています。
赤外線を照射すると、分子固有の振動周波数と赤外線の周波数が一致したときにエネルギーを吸収します。
▼伸縮運動の例
| 結合 | 吸収波数(cm⁻¹) |
|---|---|
| O-H | 3200~3600 |
| C-H | 2800~3000 |
| C=O | 1650~1750 |
| C-O | 1000~1300 |
そのため、同じ有機物であっても樹脂・フラックス種・油脂などの判別が可能となります。いわば、有機物の「指紋」を読み取る分析法です。
測定方法・結果例
ATR法または反射法にて、測定可能な顕微鏡タイプの装置。微細部分の有機物残渣の高精度判定が可能な分析装置です。用途により測定手法を切り替えて分析します。
ATR法
ATR 法は、プリズムを直接測定部に押し当てて赤外線を増幅させるため、有機物残渣が微量に存在する場合であっても高精度な判定が可能となります。
反射法
反射法は赤外レーザーを使用した反射光によって測定を行うため、非破壊で検査できる利点があり、クリスタルが接触できないような細部の分析も可能となります。
| ATR法 (Attenuated Total Reflection) |
反射法 (Reflection) |
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|---|---|---|
| 測定原理 | ATR結晶を試料に接触させ、エバネッセント波を利用して測定 | 試料表面から反射した赤外線を測定 |
| 試料との接触 | 必要 | 不要 |
| 非破壊性 | やや低い(接触による影響あり) | 高い |
| 微小異物分析 | ◎ 非常に得意 | ○ 可能 |
| スペクトル品質 | ◎ 良好 | △ 試料に依存 |
| 定性精度 | ◎ ライブラリとの一致性が高い | ○~△ |
| 表面感度 | ◎ 数µm程度 | ○ 膜厚や材質に依存 |
| 金属基板上の残渣 | ◎ 得意 | ○ 条件による |
| 凹凸面の測定 | △ 接触性に依存 | ◎ 比較的容易 |
| 立体構造による影響 | △ー×形状によっては不可 | 〇 比較的調整可 |
最適な測定手法の選び方
FT-IRの測定手法は試料の形状や状態によって選択されますが、電子部品分野では一般的な材料分析とは異なる視点が求められます。
実装基板や電子部品では、微量なフラックス残渣や樹脂成分、シリコーン汚染などを評価するケースが多く、試料の形状だけでなく付着位置や汚染レベルも重要な判断要素となります。そのため、ATR法、反射法を適切に使い分けることが、正確な汚染物質の特定につながります。
ゼストロンでは対象物と分析目的を確認した上で、最適な測定アプローチをご提案いたします。
測定結果例
分析後にご提出するレポートでは、以下のようなスペクトルをもとに結果をご説明するとともに、必要に応じて改善策もご提案いたします。
▼ATR法
残渣はフラックス成分と一致していることが確認できる
▼反射法
フラックスが目視では確認できない部分
⇒微量だが残渣があると判断できる
神奈川県にあるゼストロンの分析センターには、マイクロスコープ、FT-IR、イオンクロマトグラフィー、SEM-EDXなどの観察/分析装置があり、トレーニングを受けた専任のスタッフが、洗浄後の清浄度評価や、洗浄後に不具合が起きている場合の原因分析などをお手伝いいたします。
また、必要に応じて分析結果をおまとめしたレポートを提出し、分析結果を踏まえた洗浄プロセスの最適化・構築もご提案いたします。分析に関して、何かお困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
分析内容がまだ固まっていなくても問題ありません。
現状のお困りごとや気になっている点をもとに、適した分析方法や進め方をご提案します。
「何が付着しているか分からない」「原因をどこから調べればよいか分からない」といった段階でも、お気軽にご相談ください。