微細接合向けはんだペースト洗浄性検証
【共同研究'22】日本スペリア社 様 x ゼストロンジャパン
はんだメーカーである日本スペリア社様と微細接合向けはんだペーストの洗浄性検証を共同で行いました。
はじめに
スマートフォンをはじめとする5G対応通信機器やEV向けの制御ユニット等にみられる最新型電子デバイスは小型化・薄層化が進んでおり、それに伴い微細接合向けはんだペーストの開発がより活況を見せています。
このような電子デバイスは長期的な高信頼性が求められ、フラックス洗浄が必要となる場合も増加傾向にあります。高密度実装や搭載部材の多様化により低スタンドオフを有する電子デバイスが増加しています。
しかし、微細接合向けはんだは耐熱性や溶融時の形状保持を目的として様々な添加剤が使用されており、その多くは汎用の有機溶剤や水へは溶解しにくい物質であることから、従来の噴流や超音波による洗浄方法のみでは対応が困難な場合も多く見受けられます。
また、近年の小型化された電子デバイスでは、洗浄しにくい箇所(部品下など)に洗浄しにくい物質が残存(残留)しているため、洗浄方法・洗浄剤には抜本的な変革が求められています。
洗浄方法
洗浄方法 | 特徴 |
---|---|
ZESTRON提案 スプレー洗浄 |
死角が少なく液置換性に優れ、微細な部分まで確実に汚れを除去 |
従来型 噴流 |
洗浄剤の流れによどみが発生して低スタンドオフ内部では大幅に液の流れが減衰 |
従来型 超音波 |
微細接合部の洗浄には優れるが、低スタンドオフ製品は非常にデリケートなものが多く、部材・部品を痛めてしまう可能性があるため使用できないケースが増加 |
洗浄剤の種類
洗浄剤の種類 | 特徴 |
---|---|
ZESTRON提案 「水系洗浄剤」 |
溶けやすいものは溶解させ、溶けにくいものは「剥離」して洗浄性を確保するハイブリッドタイプ(MPC®テクノロジー) |
有機溶剤 | 溶解力を主とするため、溶解できない金属塩や高耐熱物質への対応は困難 |
上記でZESTRONが提案した洗浄性を検証するため、日本スペリア社様にご協力いただき、合同研究を行いました。
洗浄課題低スタンドオフ部にて金属塩・高温耐性物質を確実除去
スプレー洗浄×水系洗浄剤の有効性検証
<洗浄サンプル>
0402/0603コンデンサ実装基板
(スタンドオフ高さ20μm)
<洗浄方法>
洗浄剤 | VIGON® PE 305N 15%濃度 | |
洗浄方式 | スプレー洗浄 | |
洗浄温度 | 60℃ | |
洗浄時間 | 5分 |
難溶性物質への洗浄性を強化した新型洗浄剤の使用により従来型と比べて10℃低温・半分の洗浄時間で洗浄を実現
外観観察
0603 洗浄前 | 0603 洗浄後 |
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コンデンサ周辺・下まで残渣は未検出
FT-IR
観察ポイント: 0603コンデンサ下部 |
フラックス固有の特徴的なスペクトルは未検出
SEM-EDX評価
元素マッピングから残渣は未検出
まとめ
今回の検証では最新型水系洗浄剤『VIGON® PE 305N』を使用し、スプレー方式にて洗浄を行いました。この2つの要素を組み合わせることで、剥離を主とした独自の洗浄技術により、コンタミネーション(フラックス)を流動化させ、効率的に液の置換性を確保できるため、低スタンドオフ部の確実な洗浄性を確保できます。各種分析結果から金属塩・高温耐性物質の消失を確認でき、洗浄課題を達成いたしました。
弊社では、ペーストやワークに合わせて様々な種類の洗浄剤をご用意しております。
【共同研究:日本スペリア社 様】
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接合手法の進化と洗浄